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§865 アメリカ合衆国独立・発展と太平洋戦争

世界史の中の日本6

§865 
アメリカ合衆国独立・発展と太平洋戦争 (1776.7.4-1945.9.2): I-50

所謂太平洋戦争がアメリカ合衆国の発展と西漸(西方進出)の果てに起きたと預言するのが I-50詩である。

I-50
(§865): アメリカ合衆国の未曽有の発展と太平洋戦争 (1776.7.4—1945.9.2)

水の3宮から生れ出るであろうものは、
木曜日を自分の祝祭日とするであろう一者の国なり:
その風評、名声、政治力、その軍事力は増大するだろう。
陸でも海でも東洋には嵐。

Independence of U.S.A. toward world hegemony; War with Japan (1776.7.4 – 1945.9.2): I-50.

Of the aquatic triplicity shall be born
A country of a man who shall make Thursday his feast:
Its rumour, glory, reign, its power shall increase,
By land and sea in the oriental regions a tempest
.

( De l’aquatique triplicité naistra
D’un qui fera le jeudy sa feste:
Son bruit, loz, regne, sa puissance croistra,
Par terre & mer aux orients tempeste.)

本詩解釈に先鞭を付けたラモントは云う:「:水の3宮(うお座、さそり座、かに座)から木曜日を祝祭日と為すであろう者が誕生するだろう。その評判、称賛、覇気そして武力は増大して行くだろう。東洋では陸でも海でも嵐。解釈:アメリカ合衆国は、木曜日を祝祭日として持っている唯一の国である。177674日、合衆国はその独立を宣言した。これによってその出生はかに座という宮の中に置かれることになる。ところで、フランクリン・デラノ・ルーズヴェルトは、木曜日と結び付いている唯一の、現職の公務員である。何故なら、感謝祭の日にちに関する彼の決定は抗議の嵐を呼び起こしたから。また、疑いもなく、感謝祭はアメリカ人にとって非常に大切な法定休日である。何故なら、もしその日に彼等がインディアン達から受けた援助がなかったならば、アメリカの歴史は違ったものになっていたかも知れないのだ。東洋の一国である日本が、特に東洋において、いま合衆国を攻撃している最中である。」(Lamont, 1944, p.319)

また、レオニは云う:「この預言は候補となる他のどの国よりも確かにずっとうまくアメリカ合衆国にフィットする。合衆国は3つの海に囲まれていて、感謝祭という形で独自の木曜日祝祭日を持っており、そして最近、少なくとも1940年代に、3行目と4行目の預言を成就した。」(Leoni, 1961, p.578)。なお、3つの海とは、ロバーツが云うように「大西洋、太平洋、メキシコ湾」(Roberts, 1999, p.17)である。

但し、the aquatic triplicity については、「これは惑星布置の事かも知れない」ともレオニは註を付け(Leoni, id., p.147)、「ノストラダムスは合衆国が存在することになるより200年も前にその起源を預言している」とロバーツは説明している (Roberts, id.)。そして、この辺りの疑問を見事に解決したのがイオネスクであり、彼は「合衆国の独立宣言日1776年7月4日のホロスコープ」によって本詩解読を完成させた (Ionescu, 1987, p.186-190)。実際、「水の3宮, the aquatic triplicity」は占星術用語であり、うお座、かに座、さそり座の3宮が黄道12宮のチャート上に織りなす三角形である。

イオネスクによれば、1776年7月4日、独立宣言が発せられたフィラデルフィアのホロスコ-プを描いてみると、太陽がかに座(水の3宮の一つ)に在ると同時に、金星と木星という2つの吉星とかに座で合を成している。これはこの日正式に誕生した合衆国の誠に目出度い運命、幸運を告げるものである。

但し、3-4行目のイオネスク解釈:「詩の後半でノストラダムスは海陸の軍事強国としての合衆国の目を見張る成長、世界に轟く大きな噂、その民主的体制が受ける賞讃について語る。最終部は合衆国の力の重みを遙か遠方で望ましからざる形で感受する国家、日本を示唆する:第二次大戦中、大日本帝国にのしかかるであろう『嵐』。」は細部に関して文法的に疑問が残る。

何故なら、「その風評」「名声」「政治力」「その軍事力」は夫々独立した主語として夫々が「増大するだろう」と云う述語を持つと見るべきで、そうした場合、「風評」とは毀誉褒貶交々の評判であるのに対して、「名声」とは当然、良い評判であり、regne, reign とは単なる民主制と云うよりも、最後の「puissance, power 軍事力」に対して、「政治的・外交的力」と特定的に解されるべきである。なお、「名声」の原語 loz は「= los, louange, gloire (praise, glory)(Daele)Cf. X-68 (§337), X-71 (§340), II-78 (§877), V-83 (§878), III-1 (§885).

そして、4行目冒頭の「par terre & mer, by land & sea」は3行目末尾の「軍事力」に係るよりも(何故ならその掛かり方は常識的概念を出ないのみならず、航空戦力を度外視することになるから)、「嵐」に係り、「東洋で大嵐が陸でも海でも起こる」とする方が文法的に自然な読みで、且つ日米戦争の実態にも合う。何故なら、日米は多くの海戦を艦艇及び航空機で闘うと共に、多くの島嶼、フィリピン、沖縄等の陸地上でも死闘を演じたからである。

なお、2行目の D’un qui..., Of the one who... と云うのは省略形で、3行目の表現が示唆するような「ある国家 a country」が補完される筈である。そしてその国家に属する或る一者とは、『預言集』で「一者=君主的人物」と云う図式が多くの例で見られるから、これもそう解して合格になる。曰く、「1789年10月3日に、初代大統領、ジョージ・ワシントンは、その年の11月最後の週の「木曜日」(Jeudi)をもって「サンクスギヴィング・デイ」という国祭日たらしめるであろう」(Takemoto, 2011, p.555)。より正確に言うと、「ニューイングランド地方のピューリタンを中心に祝われていた感謝祭は、アメリカ独立後、17891126日にワシントン大統領により全国的祝祭日とされた。その後リンカーン大統領により11月最終木曜日と定められたが、ニューディール期にローズベルト大統領はクリスマス前の買物景気をあおるため1週間繰上げを行った。1941年以来11月第4木曜日となっている。- 岡田泰男」(EH, III, p.972)。つまり、ルーズヴェルトは、11月の木曜日が5回ある場合にかんがみ、最終ではなく、第4木曜日とした。従って、当の「一者」は、ワシントン、リンカーン、ルーズヴェルトという時代を異にする三人の合衆国大統領に該当すると見ていいだろう。

関連詩: X-71 (§340): アメリカ合衆国移民と未曽有の発展 (17世紀 - 20世紀)
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